・タフリール
・ランドール
・ダリア
・シクトゥス
・ハルア
・ヴィクトリカ
・エルフリード
・リハク
・バルデル
・モーリィ
・ハーミド
◆タフリール

(通常)
【図鑑1】
神々が争っていた時代である神代戦争期に 創造された天使の一人。
元の役割は戦闘に赴く兵たちの補助や
治療といった後方支援だったが、
生み出されてすぐ、体から魔力が抜けていく 奇病にかかってしまい、
声を出すことも ままならず、寝たきりになってしまう。
それから、およそ二千年近く
病身のまま、ほとんどの時間を ベッドの上で過ごした。
その間、天使や魔術師が様々な治療を 試みたが、
いずれも効果は出なかった。
天魔大戦の末期、死霊術師モーリィが
治療ではなく、新たな体に魂を移すという 方法を試そうとする。
タフリールはその魔術師の意思確認に首肯し、
金属でできた動ける体を手に入れたのである。
【図鑑2】
鎧姿とはいえ、動いて、他者と
しゃべることもできるようになった彼女は
病で寝ていた時とは打って変わり、 非常に明るく、
前向きに振る舞うようになる。
元は光の魔力を持つ天使だったが、
施された魔術の影響で闇属性に変異している。
が、本人は自分の意志で動ける体を得た事と
比べれば些細な影響だと考えていた。
また、天使だった唯一の名残として、
鎧の中から幽体を出すことができた。
ただ、幽体では会話はできるものの、
物に触れることはできなかった。
【図鑑3】
天魔大戦が終結して以降、
タフリールは 光都ケイトゥムで過ごしており、
有事の際の救援部隊の一員として活躍していた。
天使の中にはヒトやハネビトを 見下す者が少なからずいたが、
彼女はそういった偏見は持っていなかった。
非番の日には散歩をしたり、絵を描いたり、
鎧を飾ったりといった趣味ができ、 友達もできて、
彼女にとってはこの時期が 一番幸福だったと言える。
やがてヒトと天使との摩擦が表面化し、 神獣が現れると、
タフリールは 再び戦いに参加することとなった。
攻撃を受けて、浮遊する魔力を失いつつあった
空中都市でヒトの救助を主な任務にしていたが、
ある時、神獣に襲われているヒトをかばって、
背後から攻撃を受けてしまう。
そのまま鎧を破壊され、 タフリールは活動を停止した。
(クリスマス版)
【図鑑1】
死霊術師モーリィの施術によって鎧に魂を移した
幽霊天使タフリールが、天使支配期初期の
とある年末に、その鎧を自ら飾った姿。
天使の役割をこなせるよう、鎧の習熟訓練や
絵の練習に励んでいたタブリールは、
菓子職人 ヴァローナのもとで「歳末助け合い」と称して
ボランティア活動を行った。
この時のタフリールの鎧は、
自身の手でとても賑やかに飾り付けられて いたが、
これはヒトのワラクラム祭の習慣を
モーリィからタフリールが学んだ際、
『過剰なまでにサービスするのがワラクラム』
と誤解したことが一因だった。
モーリィはそうしたワラクラムを嫌っていたが
タフリールはそれが楽しみだ、と解釈しており、
また「鎧がかわいい方が強い」とも考えていた。
【図鑑2】
タフリールは光都ケイトゥムの街頭で
ヴァローナのチョコレートを売って(?)いた時
近隣のシュクレの店でアルバイト中の ハネビトの少女クラエッタと出会い、
期せずして、クラエッタや妖精と共に
不思議なワラクラムの夜を過ごすことになった。
鎧の体を得るまで長年寝たきりだったタフリール だが、
天使としての使命感や能力は持っており、
元々の明るく屈託のない性格も相まって 不測の事態に柔軟に対応できた。
その分け隔てなく誰とでも接することのできる 性質からか、
タフリールは天使長ヴェヒターとも
気兼ねない友人関係を築くことができたという。
【図鑑3】
クラエッタとの不思議なワラクラムの夜以降も
タフリールは度々、自身の鎧を楽しく飾り付け、
街中で奉仕活動を行っていた。
神獣戦争期になると、光都の警備隊員として
働いていたタフリールは天使軍に再編入され、
防衛戦の最中、ハネビトの少女イヴと出会う。
タフリールはイヴとは共闘するだけでなく、
一緒に買い物に行ったり絵を描いたりと、
公私問わず交流を深めていった。
崩壊する光都から住民を避難誘導する際、
神獣によりタフリールは鎧を砕かれ、
最期を迎えることになったが、
しかし タフリールの明るく前向きな姿勢と行動は、
多くの人々の心の支えとなった。
◆ランドール

【図鑑1】
ベルメリオ大公国出身の剣闘士。
当時開かれていた武闘大会で数々の栄誉を 手にし、
その腕が認められ、ついには世界を 脅かす
神獣を討伐する部隊を任されるに至る。
元々は小さな山村の出身だったが、
少年期に村を訪れた旅の剣士の強さに憧れて、 都市へ出る。
それから剣の腕を磨いていった。
一本気な熱血漢で、 物事をあまり細かく考えない性分な上、
何かと言えば勝負で白黒つけたがったため、
第一印象は荒っぽいが、 誰かを守るための戦いと、
試合以外では 決して他人に暴力を振るう事はなかった。
【図鑑2】
ランドールは若くして、妻と息子に恵まれ、
束の間の家族団欒を非常に大切にしていた。
だが、神獣が跳梁跋扈していた時代において、
彼のような腕の立つ戦士は 戦いに駆り出される事が多く
妻子と過ごせない事の愚痴と家族自慢を
度々同僚達との酒席で話していた。
息子の口タニアは、まだ物心つくかどうか という歳だったが、
ランドールの目には 自分と同じか、
それ以上に戦士としての 才覚があるように見えていた。
【図鑑3】
ランドールは大公国最強の剣士として、
国中の期待を背負い、多くの強者と共に 神獣討伐の遠征に出発した。
しかしその頃、対神獣を目的とした武器、
魔装武具は、まだ万全な状態ではなく、
彼は不完全な武器を手に神獣達と戦い、
善戦するも虚しく命を落としてしまう。
その失敗の反省から、後の五剣聖計画は
慎重の上にも慎重を期して策定される こととなる。
◆ダリア

【図鑑1】
神獣支配期に存在したヒトの国家、
コル・デ・アニル王国の第一王女。
五剣聖の一角、英雄王バルトリアスの娘で、
文武においてその才を受け継いでいたが、
周囲から、父親の若い頃と比べられてしまい、 劣等感を抱いていた。
それでいて、負けず嫌いな性格をしており、
負けた時、負けっぱなしでいる事を 我慢出来ないタイプだった。
ダリアは幼い頃、母親を亡くし、 元々は父親を慕っていたが、
劣等感と負けず嫌いが混ざり合った 幼年期を経て、
十代になる頃、 バルトリアスが進めていた神獣討伐のため
民に忍従を求める政策を ことさら批判するようになる。
頭のどこかでは父の意図と真意を 理解していたものの、
父親に 負けたくないという思いと 幼い反抗心が強すぎて、
きつく批判してしまったのである。
ダリアは事あるごとに父親に突っかかっては、
その都度、軍師シクトゥスにめられていた。
父の代からの付き合いである 軍師シクトゥスとは犬猿の仲で、
互いに苦手意識を抱いていた。
【図鑑2】
ただ、それから数年後、
バルトリアスら五剣聖が神獣討伐に赴く際は、
戦士として十分に鍛えた実力を見せるために、
正式採用されなかったものの、 十分な性能を持つ魔装武具を持ち出して、
討伐軍に同行しようとする。
しかし、バルトリアスはそれを許さなかった。
その事を不本意に思っていたダリアだが、
『国には次代の王が必要』との説得に応じ、
王城で父の帰りを待つことにしぶしぶ同意する。
バルトリアスが遠征に出てから、
彼女は 次代の王として、コル・デ・アニル王国を 治めていけるよう、
父の代から王家に仕える帝王学の教師による手ほどきを
真面目に受けるようになった。
そして、バルトリアスが神獣との戦いから戻り、
戦いの傷が元で動けなくなって以降、
ダリアは国政の表舞台に立つようになる。
深手を負った父とは短く言葉を交わしたが、
王太女として激務に追われるダリアと、
傷の影響で眠る事が多くなったバルトリアスは すれ違い、
往年のわだかまりを 完全に解消するには至らなかった。
【図鑑3】
五剣聖による神獣討伐から数年後、
父バルトリアスが亡くなり、 ダリアが正式に王位を継いでからは、
かつての努力に裏打ちされた自信にあふれた
美しき女王ぶりを発揮するようになる。
特に、神獣に占拠されていた南方の温暖な
地方への移住政策を重点的に推し進め、
多くの民が比較的豊かに暮らせる状況を もたらした。
その頃のダリアは、王という職務を通して、
バルトリアスがなぜ、ああも厳格で、
自身にもダリアにも厳しく接していたかを 理解していた。
そして、もっと親孝行して おくべきだったと、
たまに後悔の念を 抱いていた。
神獣によって荒廃した世界を立て直す作業は
困難の連続で、忙しく働いていたダリアは
重臣たちによる見合い話を適当に はぐらかし続け、
ついに配偶者も跡継ぎも 決めないまま、
若くして急な体調不良を 覚えて亡くなってしまう。
そうして王家は断絶し、コル・デ・アニル王国 という国号は消滅するが、
豊かになった その地方の民達は、かつての王家を偲ぶように、
男子にバルトリアス、女子にダリアという 名前を好んで付けるようになった。
◆シクトゥス

【図鑑1】
神獣支配期に名を馳せた大軍師。
コル・デ・アニル王国領内の農村出身で、
もともとは没落地主の子だった。
家庭環境の貧しさから、 自給自足の寄宿学校へと預けられ、
軍事学と神獣により脅かされる 世界の姿を学ぶ。
また、その学校で、対神獣戦の
切り札となり得る魔装武具の情報を得て、
大いに興味を抱いた。
知的好奇心が強く、頭の回転も速いため、
軍師として優秀な人物であったが、
発言に不遜で不穏当な点が多々あり、
政治面の仕事は不得手であった。
【図鑑2】
シクトゥスは青年期に、のちに
コル・デ・アニル王国の王となる
バルトリアス王子と魔装武具の研究施設で
出会っている。
そして、双方の資質を認めるや否や
神獣を倒すべく、日夜具体的な方策を 練る仲となった。
バルトリアスが国王となってからは
正式に神獣対策の軍師として招かれ、
魔装武具の完成形の使用用途や
神獣討伐の具体的な作戦を立案する。
この時期に、権謀術数を駆使して、
試作品の目玉型魔装武具 『ウォッチャー』を入手した。
【図鑑3】
シクトゥスが策定した『五剣聖計画』は
犠牲を出しつつも、神獣を倒す事に成功する。
世界は数百年越しに神獣の脅威より解放され、
彼もまた稀代の戦略家と讃えられた。
神獣討伐後は、更なる知識を求め、
とある隠者に教えられた神々の書庫への
到達方法を模索していたのだが、
発見の前に病に倒れ、目的は達せなかった。
なお、その当時コル・デ・アニルの王位に
就いていた女王ダリアからは、
その奔放な行動に度々苦言を呈されており、
互いに苦手意識を抱いていた。
◆ハルア

【図鑑1】
創世期に数十人いた通信天使の一人。
明るく素直だが、とても運が悪い不運体質。
当時の通信天使たちはナディル神殿から
世界の各地に飛び、探索や調査、
そして 天使同士の遠距離魔術通話による
情報交換の役割を担っていた。
ハルアも探索や伝達の仕事に関しては 相応の自信を持っていた。
しかし、彼女の場合、他の天使と違い
往々にして良くない事象を察知し、
そのまま不運に見舞われることが 少なくなかった。
どういうわけか事前に危険が分かっていても
ハルアがそれを避けることは難しく 程度の差はあれ、
何らかの事件や事故が ハルアの身に起こってしまった。
そんな自分の不運を呼び込む体質と、
背の低い体型を、彼女自身は気にしていた。
【図鑑2】
争いを苦手とし、平穏を好みながらも
なぜか立て続けの不運にあうハルアだが
彼女の探査力は優れたものであり、
情報戦において重宝されていた。
また、他の戦闘力の高い天使と組めば
位置情報共有と共に対複数攻撃能力を 付与することもでき、
そのため特殊作戦に 借り出されることもあった。
ハルアは主に創世の三天使の伝令役を 務めており、
特に水を司るファヒータと 行動を共にする機会が多く、
作戦外での 付き合いもあった。
一方で、放浪癖のある風の天使アーヴェルを 見つけるため、
さんざんな苦労をしたことも あった。
また、彼女は天使長ヴェヒターからもらった
幸運のお守りを宝物と考え、いつも大事に 肌身離さず、携帯していた。
【図鑑3】
その高い探査能力のせいなのか、
ハルアは良くない事件や事故を 呼び込んでしまうことが非常に多かった。
しかし、彼女の身に起きる出来事のすべてが 悪い訳ではなかった。
ファヒータに従い、きちんと特務を果たすなど
人物関係については恵まれているとも言える。
ある時、ハルアは偶然ヒトの街で食べた
美味しいおだんごを気に入り、
以降、非番の際ハルアは時折下界に降りては
ヒトの街に出かけ、買い食いをしていた。
しかし、不運でおだんごを台無しにしてしまい、
満足に食べられないことも多々あった。
ほとんどの場合、ハルアの不運は些細な事で あったが、
その頻度が普通ではなかったのだ。
ただ、数々の不運に見舞われたハルアで あったが、
可能なら自分自身だけでなく、 世界の不運と不幸を少しでも減らしたいと
日々願っていた。
◆ヴィクトリカ

(通常)
【図鑑1】
ブレイバン王国の王女にして
天使から魔力の翼を与えられた英雄。
ヴィクトリカはかつて、天使に命を 救われたことで、
彼らに崇敬の念を抱き、 以降王族として戦場で華々しい活躍をする。
そして、元々魔法印との相性がよく、 魔力的な素質があったため、
武功の褒章として片翼と強い魔力を 与えられた。
その力は主に朱ノ国との戦争で発揮され、
彼女が前線で戦いを始めてからは、
こう着状態にあった各戦場は
ブレイパン王国優勢へと大きく傾いていく。
【図鑑2】
ヴィクトリカは王室育ちで、
教養も品格も 備えてはいたが、少々口が悪く、
一切の遠慮をせずに物を言うため、 政治に向いていなかった。
そのため、内政に関しては 臣下に任せている面が多々あった。
また、副官のルシアナは幼少期から学生時代を
通しての付き合いで、臣下であり、友人であり、 姉のような存在だった。
さらに、人形を集めるのが趣味という 少女らしい一面も持ち合わせていた。
【図鑑3】
ヴィクトリカは元々武芸にも学問にも 秀でた才媛だったが、
天使に力を 与えられてからは、それらに更に磨きがかかり、
下級の天使とは比べ物にならない程の 力を持っていた。
ともすれば上級天使に匹敵していたその力は 天使に万が一、
彼女の反逆が起きれば、 天使の体制に大きな痛手が出ると
危惧させるほどのものとなってゆく。
当時、彼女は天使に対して心酔していた。
だが、その意志と天使の思惑は 徐々にずれていき、
やがて大きな歪みとなる。
死の前にあったある出来事が原因となり、
召魂された現在では、かつてあった天使に
対する絶対的な忠誠心は持っていない。
しかし、以前抱いていた忠誠が敵意に
変わったかと言えばそうでもなく、
召魂された当初は自分の内にある 感情がどんなものか、計りかねていた。
(クリスマス版)
【図鑑1】
天魔大戦中期に活躍した ブレイパン王国の王女にして
天使から魔力の翼を与えられた英雄 ヴィクトリカが、
新調したウラクラムの 祭典用衣装をまとった姿。
その衣装は、魔力を込めた針仕事を得意とする
お針子によって作られた物で デザインはヴィクトリカが
口頭で注文した通りの方向性なのだが、
自身の人形好きが高じて、少々大胆すぎる
構想を語ってしまったことを反映して、
露出の多いものとなっている。
そのためか、この衣装を着た彼女は いつもより恥ずかしげにしていた。
【図鑑2】
ブレイバン王国には、ワラクラムの時期に
天使と精霊の祝福を得た巫女が
戦いと祈りをささげるという、 古式の儀式があった。
ヴィクトリカと副官のルシアナは ある年のワラクラムに、
期せずして その儀式に則った戦いを経験する。
その際は、魔力のこもった祭典用の衣装が 大いに役立った。
【図鑑3】
天使ミトを招いたワラクラムの祭典が 開かれた年、
ヴィクトリカはその衣装と 片翼の力を遺憾なく発揮して、 強力な魔物を退けた。
しかし、皮肉にも、そのような活躍の際
見せた力が天使の上層部に危険視されてしまい、
ヴィクトリカ達と比較的良好な関係だった
天使ミトに非情な命令が 下されることになってしまう。
ヴィクトリカは信じたものに裏切られたが、
だからこそ、召魂獣の身となってからは
思い込みや願望ではなく、冷静に見聞きした
物事を信じようと心に決めている。
◆エルフリード

【図鑑1】
ブレイバン王国にて、
若くして王位を継いだ 有能なカリスマ王。
天使に最も近いヒトと 言われたヴィクトリカの実弟でもある。
エルフリードは才気あふれる君主であったが、
気さくな一面も併せ持っており、
昔から自然と人を惹きつける人物だった。
幼少期は、彼も一般的なヒト同様、
天使に尊崇の念を抱いていたが、
エルフリードが12歳のとき、
姉ヴィクトリカが天使ミトに 謀殺されるという事件が起こる。
特に心ない天使には 密かに不遜な態度を取るようになった。
やがて、エルフリードは王位に就き、
ヴィクトリカの死を教訓に、個人ではなく
軍の力を強化することに努めるようになる。
特に武具の製作にはこだわりを見せ、
出来の良いものには聖剣の名を与えて
配下の騎士に授けることも行っていた。
ちなみに、姉の副官を務めていたルシアナが 初恋の相手で、
ヴィクトリカを失って 消沈している彼女を元気づけるため、
十も歳が違うことを自覚しつつ告白し、 丁重に断られるという過去を持つ。
【図鑑2】
エルフリードは王位に就いてから初の 戦闘において、
しばらく後方の高台で 軍の指揮を執っていたが、
孤立した部隊を 見つけると、自ら将兵を率いて敵の大軍へと
果敢に飛び込み、救出を果たすなど 活躍を見せた。
その的確な指揮と、勇猛な戦いぶりにより、
彼はブレイパン軍を勝利に導く。
そうした智勇を兼ね備えた戦い方を称えられ、
彼の象徴だった『聖剣ジルキス』にちなんで、
エルフリードはいつしか『聖剣王』と 呼ばれるようになった。
同時期、彼は敵対するケモノビトの 国家、
風ノ国の軍略王リハクと出会う。
風ノ国との幾度かの戦闘を経て、
兵力と練度を重んじる「力」のエルフリードは、
神算鬼謀を駆使する「策」のリハクを 好敵手と認識する。
双方、相手の軍略を楽しんでいる節すらあり、
彼は戦術から見えるリハクの人柄に関して、
相容れないものを感じつつも、 王としての器は認めていた。
【図鑑3】
エルフリードは王位に就いてから、
ケモノビトの大国、風ノ国の王リハクと
幾度とない名勝負を繰り広げた。
そうして、十年が経とうとした頃
両国軍はベンディスカ平原で大決戦を迎える。
開戦後、互いの力と軍略がぶつかり合い、
戦況はしばらく一進一退を繰り返す こう着状態が続くこととなった。
そこへ、ヴィクトリカ同様、大きな力を
持ち始めたエルフリードを危険とみなした 天使と、
リハクを邪魔に思っていた悪魔が 乱入し、
戦闘にまぎれて二人の王を 亡き者にしようと動く。
しかし、王達は神聖な戦いの場への乱入者を 決して許さず、
示し合わせたかのように エルフリードは悪魔に、
リハクは天使に. 攻撃を仕掛け、互いの敵を討ちとった。
二人が戦いを仕切り直そうとした時、
ベンディスカ平原に大爆発が起こる。
両国は軍の大半を失い、エルフリードと
リハクの決戦は図らずも痛み分けとなった。
以降、エルフリードは軍を失った国の
立て直しに忙殺されることとなる。
エルフリードは王位を退いた後、
幾度かリハクと密会し、戦の武勇伝や
国の行く末などを話しながら酒を酌み交わし
チェスに興じたと伝えられている。
◆リハク

【図鑑1】
かつて、様々なケモノビトを束ねた大国 風ノ国で、
ラーガ族という王家の一族に 生まれ、
智略と戦闘の両面に秀でていた王。
かつては、神代より続いていた争いを
自分の代で終わらせることを目標とし、
そのために様々な計略を磨き、 策を巡らせていた。
かなりの野心家で、王位に就く前から、
先代の王であった父親に数々の提言をし、
軍師として取り立てられていた。
当時リハクよりも上の年齢のきょうだいが いたにもかかわらず、
その機略と才気から 彼が正式な王位継承者とされた。
リハクは文武両道に秀でており、
当時、最高の 知略の持ち主とまで言われていたものの、
芸術方面に関しては才に恵まれず、
趣味の詩作がはかどらない時には 物憂げな様子を見せる一面もあった。
【図鑑2】
同盟国であった朱ノ国がヒトの大国、
ブレイバン王国によって滅ぼされた後、
ブレイバン国王エルフリードを 宿敵と考えており、
両者の間には 幾度もの名勝負と呼べる戦闘があった。
リハクはエルフリードに対して、
自身に並ぶ軍略を持つ驚異の王という 認識を持ち、
最大の警戒をしていた一方で、 自身が打った幾重もの策を、
力と智勇と 機転で打ち破ってくる彼に 好敵手めいた感情も向けていた。
また、リハクは兵士同士のぶつかり合う戦闘は
本来避けるべき最終手段と考えており、
武力による対戦を行う以前に、
計略・策謀に よって敵を無力化できるのであれば、
それに越した事はないという考えを持っていた。
しかし、ブレイバン王国との戦いに関しては
極端に非情な策は用いいなかった。
その事を諫言した部下に対しては、
エルフリードを不必要に慎らせ、
敵が同様の策を用いるようになれば かえって問題だと返していた。
【図鑑3】
風ノ国とブレイパン王国、
二大国の間で 幾度かの戦いが繰り広げられた後、
天使と悪魔の両勢力の大部分が
互いにその一戦で大戦に決着をつけるつもりで
ベンディスカ地方へと集結した。
両陣営の思惑がぶつかり、 戦いの中リハクとエルフリードは
ついに直接対決直前にまで至る。
しかし、いざ決戦というまさにその時、
ベンディスカ地方に激震と共に爆風が走った。
その大爆発によって、両軍の戦力の大部分が 失われてしまう。
突然の事態に呆然としたリハクだが、 やがて現状を正確に把握し、
生き延びた将兵に撤退を命令した。
国へ帰還してからは戦争どころではなくなり、
国力の回復に専念することとなる。
その後、 風ノ国とブレイバン王国、
ひいては リハクとエルフリードの決着が つけられる事はついになかった。
後年、リハクは王位を退き隠遁生活を送る。
時に趣味の詩作に興じつつも、リハクは 己が学び、
実践してきた兵法を 書物にまとめていった。
それらの戦略、戦術は長い時を経ても 色褪せる事がなく、
遥かな未来では ヒトにも伝わり、
五剣聖と神獣との対決を 主導した軍師シクトゥスもそれを学んだ。
◆バルデル

【図鑑1】
天魔大戦中期、パーストゥル王国軍に 所属していた盲目の引使い。
バルデルはある戦場において、
至近距離で 爆発魔法を受けた傷がもとで視覚を失った。
通常なら引兵としての生命を 断たれる事態であったが、
彼は家が貧しかったことともあり、 視覚以外の感覚と、
もともと鋭かった 勘を頼りに独自の訓練を重ね、
心眼と呼べる独特の射法を編み出した。
その後も、バルデルは心眼を用いて、 戦場で重要な役割をこなした。
彼は温和で物静かな性格をしており、
声を荒立てる場面は家族でさえ 見たことがなかった。
また、大変な味音痴で、
逆に言うと何でもおいしく
食べることができる才能を持っていた。
【図鑑2】
バルデルには同じくパーストゥル王国軍に 所属する
妹のメルヴィと弟のリンドがおり、
いずれも弓兵として名を馳せていた。
母親が病気で早世し、父親は放蕩の末、
あろうことか姿をくらましたため
子供時代は三人きょうだいだけで暮らしていた。
同じ弓使いのきょうだいでも考え方は まるで違い、
三人とも目指した役割も 歩んだ人生もまったく違うものだった。
メルヴィは人を率いる方面で力を発揮し、
リンドは遠距離からの狙撃で軍に貢献した。
【図鑑3】
ある時、バルデルは戦場で 怪我をした女性と出会う。
戦争に参加して傷ついたと思しきその女性を
目の見えぬ彼は特に疑問も感じず手当てし、
しばしの間、言葉を交わして、共に過ごした。
この時バルデルが相手に抱いた印象は、
「美しい心を持った女性」であり、
そして、それは間違ってはいなかった。
しかし、別れの際になってバルデルは気づく。
両軍に撤退の合図が出た中、丁寧に礼を言う
彼女の向かう先が自分とは異なる事を。
この出会いは、彼にとって幸福なものであり、
そして最大の不幸に繋がるものでもあった。
◆モーリィ

【図鑑1】
マディア帝国有数の貴族であり、
天魔大戦の末期ごろから活躍した死の魔術師。
モーリィは生命にとって死こそが 至上にして唯一の救いと考えていた。
そして、魔力をどう作用させると 弱った生命が活性化し、
どう作用させると 弱り、死ぬのかの研究に没頭する。
実験や解剖が大好きで、三日三晩、 寝ずに解剖を続けたこともあった。
目的に対して一直線な性格ではあったが、
その目的が死の解明であるため、 物騒な研究内容も多く、
一部の魔術師からは 目を合わせると解剖されるなどと 噂されていた。
また、やっかいな悪魔やケモノビトが 現れた際、
戦場に赴くこともあり、 敵に対しても遺憾なく研究成果を披露し、
死をもたらした。
【図鑑2】
死という研究内容や、その言動から、
人々に忌避されていたモーリィだが、 悪魔が滅び、
天使が治安を管理する 時代になっても、
犯罪者としての扱いは 一切されていない。
というのも、彼の研究の副産物として、
様々な『死を避ける』ための生薬や 解毒薬が開発されており、
それらの (本人にとっては負の)研究成果が
被害を大きく上回っていたからであった。
それからも屍を操る術や 生身で動けぬ者の魂を別の物体に移す魔術など、
生命と魂を司る術を研究し続けた。
【図鑑3】
モーリィには、もともと妻子がいたが、
研究に本格的にのめり込んだのを境に 離別状態となっており、
以降は使用人と暮らしていた。
その使用人達も実験の巻き添えで、
動く屍にされてしまい、 屋敷には死した使用人が徘徊し、
庭の手入れや掃除などを黙々とこなす 異様な光景が広がっていた。
晩年に出会ったメイドの ジネットという女性を非常に気に入っており、
極端な性格傾向を持つ彼女を 『死に近しい存在』と歓迎していた。
◆ハーミド

【図鑑1】
神代戦争末期から天魔大戦初期にかけて、
レベリオ朝ウルパ王国にて活躍した偉大な 魔術師にして、
世界で最初にアパティアに 招かれた者。
代々続く魔術師家系に生まれたハーミドは
幼少期より魔術の才に長けていたが、 十歳になった頃、
「魂」というものに強く 興味を引かれ、
魔導学院で本格的に 魔術と魂について学び始める。
そこでハネビトの女性ディステルと
ヒトの男性ファルケという同年代の学生と
知り合い、親交を深めた。
同じく魔術を学ぶ彼ら二人は共にハーミドの
学友となり、また後には戦友ともなっていく。
二人と互いに影響し合い、彼女は「魂」と並び、
次第に「永遠」ということについても 希求するようになっていく。
なお、ハーミドは一人で研究に 没頭していることが多かったため、
周囲からは孤独を好んでいると思われがち だったが、
これと認めた友人に対しては 親身となる性格であった。
また、身の回りの細々としたことを 気にしない癖があり、
数少ない友人を 苦笑いさせることも多々あった。
【図鑑2】
神代戦争当時、魔術師は戦闘要員であり、
ハーミドも度々前線に駆り出されていた。
激化する戦況の中、おびただしい死を 目の当たりにしたハーミドは、
世を平穏に 導くため、闘争の連鎖を止める方法を
見出さなければならないと考えるようになる。
しかし、世の行く末を見極めるためには
ヒトやハネビトの生はあまりに短すぎるとも ハーミドは考えていた。
戦いの合間、学院でディステルやファルケと
共にハーミドは研究を進めていき、 やがて肉体寿命の延長ではなく、
『魂の記憶を魔術で永遠に保ち続ける』 という方法に傾倒していく。
【図鑑3】
ハーミドにはディステルとファルケという 友人たちがいたが、
ある戦場でディステルは 敵の攻撃を受けて命を落としてしまい、
やがて、ファルケも病を得て世を去ってしまう。
残されたハーミドは一人魔術の研究を続けたが、
その後の戦闘で、やはり彼女も 命を落としてしまった。
しかし、まさにその時、光の神ラティオは
魂の保管庫たるアパティアを完成させており、
ハーミドは強き魂として、アパティアに 招かれることになる。
以降、彼女はその魂を二つに分かち、
一つは召魂獣、もうひとつは自身を召魂する 隠者となった。
召魂獣のハーミドは、魂の片割れたる
隠者ハーミドと記憶は共有していないが、
その魂の本質は同じものであり、手段は違えど
今なお同じ目的のために存在している。
※googleドライブ経由で書き起こしています
※白いドットのようなノイズが入ってる画像もありますが仕様です
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