
【図鑑1】
ベルメリオ大公国最強と称えられ、
英雄「五剣聖」の一人として、 炎の魔装武具を授けられた剣士。
かつて神獣に挑み、倒された剣士ランドールの 息子であり、
父の仇を討つべく、 ひたすらに剣の修業に励んだ努力家でもある。
冷静で実直な性格をした好青年だったが、
子供の頃から剣術に打ち込み続けていた事と、
剣士として活躍し出した時期が早いため、
俗事にはかなり疎く、世慣れていなかった。
【図鑑2】
幼い頃のロタニアは、神獣と戦った父の背を追うため、
そして父を殺し、母に苦労を強いた 神獣を倒すため、剣の腕を磨いていた。
しかし、剣術の指南所で学ぶ中で
彼は今の世界には自分と同じように 神獣に親や身内を殺され、
悲しみを抱えている人々が、 大勢いるという事に気づく。
根が真面目であったロタニアは、
父の仇を討つという目的に加え、 これ以上の悲しみの連鎖を生まないよう、
元凶である神獣を討伐する決意を固めた。
【図鑑3】
大公国で行われた魔装武具の使い手を 決める大会にて、
ロタニアは 他の候補者をことごとく打ち倒す。
そして「剣聖」の称号と共に、
魔装武具『焔剣ルブレスティ』と 神獣討伐という重責を与えられた。
神獣との決戦に臨んだ彼は
軍勢を率いてムグラート樹海へ進軍し、
ついに父の仇とあいまみえる。
父の意志と、世界を覆う悲しみを
背負ったロタニアの剣は、神獣の凶悪な 攻撃を受けてなお、力を失わず、
死力を尽くした激しい戦いの末、 ロタニアは己が命と引き換えに
父の仇を討ち取ることに成功した。
◆バルトリアス

【図鑑1】
神獣支配期に存在したヒトの国家、
コル・デ・アニル王国の国王にして、
英雄、五剣聖の一角を務めた戦士。
王でありながら、当時国内最強の戦士で、
若い頃は魔装武具の試験要員を務めるなど
早期から神獣討伐のため可能な限りの事を 積極的に行っていた。
父王は病身であったため、幼少期から 可能な限り、早く王位を継げるようにと、
あらゆる学問や武術を徹底的に教え込まれた。
その教育と自身の血のにじむような努力の結果、
早くから世界の事情に通じ、 一刻も早く神獣を止めなければ、
あらゆる種族が滅びる運命にある事を 認識、危惧していた。
やがて、彼は少年と言える年齢で 国王として即位し、
ほどなく 父の葬儀を執り行うこととなる。
即位後、バルトリアスの進めた政策は、
時に冷徹と非難もされ、民に忍従を 求める事もあったが、
彼の尽力で諸勢力は どうにかまとまり、
神獣討伐の態勢が 急速に整えられる事となった。
一方、その人柄は「娯楽をたしなまない王」と う
わさされるほど厳格であったが、 己の力を鍛える事と、
たまの酒と食事こそが、 自身の娯楽だと少数の親しい者には語っていた。
特に、王妃でありながら家族や友人に
料理を振るう事があった妻のシチューが好物だった。
【図鑑2】
バルトリアスは己が代で何としても 神獣を討伐するという決意に燃え、
先達たちが残した様々な研究を 成果へ結びつける事に大いに貢献した。
軍師シクトゥスとは青年期からの盟友で、
お互いが魔装武具の研究所に 訪れていた際出会った。
動機は違えど、お互い神獣討伐に向けた 強い意志を持っている事を認め合い、
また評価に値する実力を持っていた事から 交流を持つようになる。
やがて、王位に就いてから、 シクトゥスを軍師の地位へと招き入れ、
神獣討伐のための具体的な作戦、『五剣聖計画』を策定する事となる。
【図鑑3】
自身が国王に即位してのち、 バルトリアスは軍師シクトゥスと協力して、
5人の英雄を以て神獣を滅ぼす計画を練る。
この作戦は5つの属性に別れた神獣を 各個撃破する事を目標とすると同時に、
人々の希望の象徴を作り出し、 絶望による混乱を防ぐ事も目的としていた。
やがて十分な実力を持つ戦士と 強力な魔装武具の用意が整ったところで、
『五剣聖計画』と称された作戦を始動。
上級神獣との決戦ではバルトリアス自身も
魔装武具『剛斧ジェドクラム』を携えて 炎の上級神獣と交戦し、
深手を負いながらもこれを討伐する。
その後、バルトリアスは王国への 帰還を果たすが、
神獣にうけた傷は深刻で 満足に動けなくなってしまう。
ほどなく、王位は娘のダリアへと譲り渡された。
その後は、娘の手腕を見守っていたが、
数年後、症状が急変し、息を引き取った。
◆アウラ

【図鑑1】
神獣支配期の国家、プラシーノ王国出身の ハネビトで、
「五剣聖」の一人として 神獣と戦った英雄。
魔法印を失った時代のヒトであった 他の「五剣聖」と違い、
ハネビトのアウラは 生まれつき魔力を扱え、
魔装武具は その制御用に使っていた。
彼女はラティオ教の巫女となるべき 白い羽根のハネビトの中でも、
とりわけ強力な魔力を持っており、 特に風の魔術と相性が良かった。
貴族の家の生まれで、高飛車なところがあり、
暮らした場所がいずれも浮世から離れた
場所だったため世間知らずで、しかも天然。
運動が苦手で、長距離の移動などは 魔力を使って空を飛ぶ事を好んだ。
【図鑑2】
アウラはヒトの貴族の両親のもとに 隔世遺伝のハネビトとして生を受けた。
しかし不幸なことに、幼い頃、
強過ぎる魔力を制御できず、ヒトの弟と妹と 飼い犬を傷つけてしまう。
その事件をきっかけに、それまでも 鬼子と扱われていたアウラは、
母親から あからさまに嫌われるようになり、
自身も魔力で他者を傷つけることを ひどく恐れるようになる。
そして、彼女は半ば厄介払いされるように
ラティオ教の神殿に修業に 出されることになった。
アウラは、魔力は自身も他人も傷つけるものと 考え、
忌まわしく思っていたが、神殿で、 出会った人々に支えられ、
めげることなく 力を制御する方法を探し続ける。
またも暴走させてしまったことで 神殿にいられなくなってしまう。
その後、山に住む老魔術師に 弟子入りすることになり、
その修行で ようやく力を制御するすべを身につける。
【図鑑3】
アウラが山で修行に励んでいた頃、
盗賊団に対して振るわれた彼女の魔力は
各方面から注目されるようになっていた。
当然、ラティオ教の総本山からは、
新たな 巫女として神殿に入るよう命令があったが、
それと同時期に、神獣討伐を目的とする
コル・デ・アニル王国の軍師シクトゥスから 強い誘いを受ける。
神獣によって故郷が、ひいては世界が滅びに
瀕している状況を知らされたアウラは 守りたい人々を守るため、
魔装武具 『魔杖ヴィルセラート』を受け取り、 神獣に挑む決意をする。
激しい戦いの末、彼女は神獣を打倒するが、
自身も限界を超える魔力の行使に、 耐えきれず、命を落としてしまう。
一方、アウラが五剣聖に列せられたことで
当時まだ、天使のしもべと忌み嫌われることが 多かった
ハネビトへの迫害が 弱まっていくこととなる。

◆クヴァシル

【図鑑1】
神獣支配期に存在したヒトの国家
エクリシア教主国の神聖兵団に 所属していた騎士。
神獣との戦いにおいては 五剣聖の一角を務めた。
クヴァシルは平民の家出身だったが、
才気に溢れ、実力のみで国内最強の 称号と名声を得た。
非常に真面目な性格をしており、 弱者に対して武力を振るう事は無く、
強者と戦う場合も、常に敬意を持って 当たっていた。
国内では理想の英雄と評判だったが、
本人は決してそのようには考えていなかった。
堅物と言えるほど、浮いた話が全く無く、
その容姿や活躍から、有力者の娘との 縁談を幾つも勧められたが、
その全てを『相手を幸せにできない』 という理由で丁重に断ったと伝えられている。
また、大勢を前にして話す際に 緊張から身が強張ってしまう癖があり、
本人は改善したいと真剣に考えていた。
【図鑑2】
クヴァシルはかつて、家族と共に 小さな村で暮らす普通の少年であった。
しかし、ある時、彼の父親が村に迫る
下級神獣から家族や村人を守るために戦い、 命を落としてしまう。
以来、クヴァシルは長子として、
家族を守らなければならないという 強い責任感を抱くようになる。
彼の生真面目で高潔な性格は そのようにして育まれていった。
同じく五剣聖であるシグとは奇妙な縁があり、
下級神獣の討伐任務などで 幾度か遭遇した事があった。
当初はお互いに実力を認め合っていたが、
戦いの先の平和を求めるクヴァシルに対し、
戦いそのものを求めていたシグは 徐々に意見が対立。
別の国の所属で滅多に会わない事や
神獣との戦いの中、共闘せざるを 得なかったなど事情が重なり、
決定的な衝突には発展しなかったものの、
両者の間には埋まらない溝が生じていた。
【図鑑3】
元々クヴァシルが武器の扱いを学んだのは、
家族を守るためであり、 何よりもその食い扶持を稼ぐためであった。
しかし、武技の才能に恵まれ過ぎた彼は
神獣との戦いを次々に請われるようになり、
徐々に家族と疎遠となってしまう。
それでも人々の求めに応えるためならばと
戦いを続けたクヴァシルであったが、
内心どこかに寂しさを抱えていた。
彼はその戦いの果てに、 神獣討伐の要たる五剣聖に任じられ、
魔装武具『天槍クラヴィス』を携えて、 闇の上級神獣と交戦することとなる。
クヴァシルは神獣のあまりの強さに苦戦し、
死に至るほどの傷を負わされたものの、
寸でのところで、その討伐に成功した。
しかし、神獣から受けた傷はあまりに深く、
死の間際、彼は駆け寄る仲間に 使命は果たせたと安堵した言葉を漏らすも、
直後、微かに表情を曇らせ、 故郷の家族への言葉を遺して息を引き取った。
◆シグ

【図鑑1】
神獣支配期に存在したヒトの国家、
アスワド同盟国において名うての傭兵だった男。
社会の底辺から力だけでのし上がり、 英雄五剣聖に列せられるに至った。
その名を知る者からは、血を好む戦闘狂と 陰口を叩かれており、
実際本人の性格は 乱暴で口調も粗野だったが、
話が通じないわけではなく、誰彼かまわず 噛みつくような危険人物でもなかった。
しかし、人々の評価は噂を元にしており、
彼が五剣聖となる以前は相当に 風当りが強かった。
また、持って生まれた天運が凄まじく 悪かったため、
くじ引きの当たりなど、 幸運を面白がる癖があった。
ただ、そんなささやかな幸運も
その後の不運で帳消しに なるような事が多かった。
シグは酒全般をかなり苦手としており、
酒席であっても一口も口にしなかった。
どのような状況であれ、自分の身を自分で
守らなければならなかった彼は、
「隙をさらさないため」とは言っていたが、
その実、根本的に酒類を受け付けない 体質をしていたのであった。
【図鑑2】
シグは国の支配者層である商人達を、 毛嫌いしており、
『顔を見ると斬りたくなる』 とまで言っていた。
彼は貧富の差が激しい国の状況に 憎悪すら抱いていた上に、
商人達の 自己保身に執着する姿勢を酷く嫌っていたのだ。
シグは元々貧民街の出身だった。
そこで姉と二人で暮らしていたが、 少年期にその姉とも生き別れてしまう。
一人で生き延びるためには力をつけるしかなく、
彼は様々な手段でひたすら己の戦闘力を 高めていった。
また、一傭兵だった頃、
のちに 同じく五剣聖となる騎士クヴァシルと
戦場で幾度か遭遇している。
お互いの実力に関しては一流と認めつつも、
性格や考え方は水と油ほどに相容れず、
時には一触即発の事態になる事さえあった。
当時は神獣という強大な相手がいた事や、
騎士であるクヴァシルと争う事で起こる面倒を 嫌っていたため、
二人が本格的に争うことは なかったが、
シグが隙あらばクヴァシルを 打ちのめしてやろうと機会を
うかがっていたのは事実であった。
【図鑑3】
シグは修業時代、見世物の闘技場に参加したり、
あるいは傭兵に混じって戦いに出るなど、
自暴自棄に近い手段で力つけていった。
やがて天賦の才覚と、日頃運が悪くとも 危機に際して、
決して死ぬことのない 数奇な運命により、
彼は国において 知らぬ者がないほどの傭兵へと成長していく。
そして、ついに神獣討伐作戦において
最高戦力である五剣聖の一員として 部隊の指揮を行うこととなる。
神獣との決戦において、
シグは 光の上級神獣と相対し、見事これを討伐する。
更に深手を負いつつも、どうにか生き延びた。
五剣聖の半数以上が死亡した中で 彼の生存は奇跡的な偶然だった。
本来はそのまま凱旋となるはずだったが、
彼がアスワド同盟国の首都へ戻る事はなく、
魔装武具と共に姿を消している。
彼がその後表舞台に現れる事はなかったが、
シグが姿を消した頃から、
国を主導する商人達は姿の見えぬ何かに
怯え続ける事になったという。
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